投稿者: makimuraakiko

  • そうだ、山形に行こう!  希少な改造貨車のダルマ駅が消えた!?

    そうだ、山形に行こう!  希少な改造貨車のダルマ駅が消えた!?

     

     

    時は2025年10月某日。JR東日本の「カラフルフルーツ旅!山形」のキャンペーン(現在は終了)を利用して、山形にでかけることにした。

     
    さて、山形のどこに行こう?と考えたとき、行く先の第一候補となったのが中川駅だ。

    神奈川にも同名の駅(横浜市営地下鉄)があるが、そちらではなくJR奥羽本線の中川駅である。駅前に有名観光地があるわけでもない、ごく普通の地方の無人駅だ。ただ私にとって特別なのは、この駅が通称「ダルマ駅」と呼ばれる、「貨車を改造した駅舎を持つ」という点だ。

    比較的多くダルマ駅が存在していた北海道をはじめ、令和の今、路線の廃止や駅舎の老朽化など複合的な事情でダルマ駅は次々と消えていっている。中川駅は、関東に住む私が日帰りで行くことができる数少ないダルマ駅の一つで、訪ねて行かねばならないとずっと心にかかっていた駅だった。

     

     

    ホームに降り立ち、早速改札に向かう。事前の下調べでは1番線ホームの中央あたりに改札→ダルマ駅舎があるはずだ。

     

     

    工事中なんだなーとのんきに考えて、そのままフェンスの周りをぐるりとまわりこんでいく。

     

     

    駅の外にでてしまった。

     

     

    駅方向に振り返る。

     

     

    この時点で、本当は気が付いたのだが、まさかという思いが現実を否定する。「ダルマ駅がない」なんて認めたくなかったのだ。
    下の画像は、2022年に撮影されたダルマ駅。鉄さびたアイボリーの貨車の出入り口に、三角屋根の風除室的な造作が施されている。

    上下の2つの画像を見比べれば、ダルマ駅がすでにここにないことは明白だ。

     

    撤去前のダルマ駅舎(2022年8月撮影)  Mister0124, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

     

    でも、本当にないのか(ないのは間違いないんだけれども)、このままでは引き下がれない。周囲を見回すと、素敵な紫色のトラックが目に入る。ちょうどお昼時なので、ダンプの所有者らしき男性が車内で休憩中だった。

     

     

     
    ぶしつけにも、運転席ガラス窓をノックし、駅の工事をされている方か?そうだとしたら、駅舎だった貨車はどうなったのか?と尋ねてみた。

    その方から伺った話によると、駅舎は昨日、撤去されたそうだ。
     

    昨日

    おもわず、「撤去された貨車はどこにあるんですか?!」と聞きそうになったが、部外者にそんなことは話せないかもしれないし、仮に教えてもらったところで、そこまで追いかけていく足も時間もない。

    工事関係の方にお礼を言って、駅に引き返す。そのうち行かなきゃと思いながら、気が付くともう間に合わなかったなんてことを、人生何度繰り返してきたんだろう。撤去跡を整備するがれきを見ながら、ためいきをつく。

     

     

    ホーム側から、もう一度、貨車がおいてあったであろう跡をみつめる。

     

     

     

    この楕円形のステップでダルマ駅舎の中に出入りしたのだろうな。

     

     

    なにか痕跡がないかと、がれきを凝視したが、なにも発見できなかった。

     

     

    JR東日本の公式サイトには、特にいつ撤去するなどのアナウンスはなかった。まあ、そこまで詳しい情報公開は必要ないもんね。

    戦いすんで日が暮れて(戦っても、日が暮れてもいないが)、この日は静かに帰途についた。

     

    3か月後・・・ 2026年1月

     

    中川駅の新駅舎が完成したらしい・・と聞き、再度様子を見てきた。

    山形県は全域が豪雪地帯に指定されている。中川駅のある南陽市も、30cm~1.5m程度の雪がふるらしいが、訪問日は晴天で、積雪もそこまでではなかった。

     

     

    ホームから見た新駅舎。コンクリート造りで、ちょっとスタイリッシュな雰囲気。
      

     

    待合室の中には椅子があり、ドアをしめれば寒さをしのげそうだ。

     

     

    3か月前、駅舎があったはずの方向を呆然と見つめていた場所から、新駅舎を見る。うまく表現できないが、なんだか感慨深い。

     

     

     

    次の画像は、2025年の10月に撮影したもので、駅に隣接した木造のトイレだ。確かな記録はないが、ダルマ駅舎が設置された昭和61年頃に、建てられたものかもしれない。もしそうなら、今年でちょうど築40年。このトイレも取り壊されると貼り紙があった。
     

     

     

    次の画像はトイレがあった付近を、2026年1月に撮影したもの。重機の置かれているあたりに、また新しいトイレができるのか、詳しいことはわからない。
      

     

     
    もう一度、駅全体を眺めてみる。冬日和な無人駅に、時間がゆっくりと流れていた。

     

     

     

    ☆関連記事はこちら

    姉妹サイト「風に吹かれて無人駅」でも、こちらのサイトに載せていない中川駅の写真などを掲載しています
    https://unmanned-station.com/096nakagawa/

  • 中川駅【2026年1月建て替え】

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

    福島と青森をつなぐ奥羽本線の山形県内に、中川駅はある。駅としての歴史は古く、開業は明治36年。国鉄民営化の前年に改造貨車の駅舎が設置され、本州では数少ないダルマ駅の一つだった。

    ところが、2025年10月にダルマ駅舎が撤去され、「消えた」ダルマ駅となってしまった。ここで掲載するのは、ダルマ駅舎が撤去された直後の2025年10月と、新駅舎に建て替えられた2026年1月の様子だ。

    ※冒頭の写真は撤去前のダルマ駅舎(2022年8月撮影)  Mister0124, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

    基本情報

    □駅名  中川(なかがわ)
    □路線  JR東日本 奥羽本線
    □開業  1903年(明治36年)開業
         1986年(昭和61年)駅舎改築(ダルマ駅舎設置)
    □所在地 山形県南陽市小岩沢
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月、2026年1月

      

     

    中川駅1番線ホームから山形方面を撮影。2面2線のホームは跨線橋で行き来する

       

    1番線ホームから2番線ホームを見る。よくある、地方の無人駅の風景だ

      

    1番線ホームの米沢方面を撮影

     

    駅名標の外枠は切断したレールだ。塗装がだいぶ剥げてきているが、それはそれで味がある 

       

    こちらは山形方面

      

    再び米沢方面を撮影。工事フェンスのあるあたりが改札で、撤去前ならダルマ駅舎が見えていたはずだ

     

    改札の外から駅方向を撮影。浅葱(あさぎ)色の重機が置いてあるあたりに、ダルマ駅舎があった

     

    こちらは2番線ホーム側にある駅の出入り口。駅舎はなく、跨線橋に続く外廊下がある

     

    — 以下、2026年1月撮影—

     

    新しく建て替えられた新駅舎。コンクリート造りで積雪にも強そうだ

     

    ホーム側から駅舎を撮影。黒壁の中は待合室になっている

     

    待合室の内部。まだできて間もないので、どこもかしこもピカピカだ

     

    中川駅のダルマ駅舎を見ることができなかったのは非常に残念だが、建て替え時期に訪問できたことは記憶に残る体験だった。より詳しい話は、姉妹サイト「探検ウォーク」で関連記事を公開しているので、そちらもあわせてご覧ください。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

      

  • 二股駅【2026年3月13日廃止】

    消えゆくダルマ駅:北海道

    函館発札幌行きの特急北斗は、長万部(おしゃまんべ)まで函館本線を北上したあと、室蘭本線に入って洞爺、東室蘭、苫小牧と進んでいく。長万部から先の函館本線は海岸を離れて山の中に向かい、ニセコ、倶知安(くっちゃん)、小樽(おたる)を経由して札幌、旭川まで続いている。

    長万部から函館本線を山の中に向かい、最初に着くのが二股(ふたまた)駅だが、二股駅は2026年3月13日いっぱいで廃止された。

     

    基本情報

    □駅名  二股(ふたまた)
    □路線  JR北海道 函館本線
    □廃止  2026年3月
    □所在地 北海道長万部町双葉
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    倶知安方面の次の駅は黒松内(くろまつない)。以前はその手前に蕨岱(わらびたい)というダルマ駅があった
    長万部方面
    壁と天井には木板が張られていて、ベンチも木製。床も含めて色が統一され、心地よい空間になっている
    室内には最小限のものしかないが、お決まりの利用者ノートと千羽鶴はちゃんとある
    列車は1日に下り4本、上り5本。長万部発倶知安行きの列車が来た。JR北海道自慢の新型H100形、愛称DECMOだ
    この光景も2026年には見られなくなる見込みだ
    しばらく停車したあと、次の黒松内に向かって走り去った

    現状の長万部-小樽間の函館本線は、普通列車だけの運行でしかも本数があまり多くない“ローカル線”となっている。さらに、並行する北海道新幹線が開通したら、廃止になる可能性が高い。二股駅は、この区間の最後を見ることなく、役目を終えることになる。

     

    前述したように、二股の次、黒松内の手前に2017年3月まで蕨岱(わらびたい)というダルマ駅があった。

    廃止前(2015年)の蕨岱駅駅舎(写真:D-s-yama, CC BY-SA 4.0
    Googleマップのストリートビューで、駅舎がなくなっているのはわかっていたが、行ってみた。やはりなかった
    ホームの先にある線路は現役だ
    蕨岱の名前はバス停としてまだ健在。パスは1日1往復のようだ

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 御来屋駅

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

    御来屋(みくりや)駅は、山陰本線の倉吉と米子の間にある。「わざわざ行こうと思わないと通る機会がない」区間にある駅のため、なかなか訪問しづらい。

    「貨車や車掌車を改造した」のが駅舎ではなく待合室、というのが大きな特徴だ。なので“ダルマ駅”というより“ダルマ待合室”というべきかもしれない。

    基本情報

    □駅名  御来屋(みくりや)
    □路線  JR西日本 山陰本線
    □開業  1902年(明治35年)、官設鉄道の終点として開設(起点は現境港)
    □所在地 鳥取県大山町西坪
    □マップ

    □撮影年月 2026年1月

     

    御来屋駅は、駅舎(駅舎については後述)からつながる1番線と、跨線橋で渡る2番線・3番線の2面3線構造。国鉄時代からの古い駅によくある駅構造だ。待合室と駅舎の関係は次の写真で把握できるだろう。

    右が1番線と駅舎、左が2番線・3番線と待合室
    1番線から見た待合室。前後にデッキのある車掌車が転用されたことがわかる。ただ、デッキの床より下は切断され、それより上の部分だけが利用されている。この点がほかのダルマ駅とちょっと違う

     

    1番線から見た米子方面。線路がまっすぐだ。通過する特急まつかぜと特急おき、多くの普通列車は1番線を使用する
    1番線から見た倉吉、鳥取方面。交換時および特急待避のときだけ普通列車が2番線・3番線を使う

     

    跨線橋を渡り、待合室の前まで来た
    待合室を反対側から見る
    室内の様子。以前は車掌車の内装がそのまま残されていたが、2017年ごろに改装され、ベンチが設置されたという
    室内の反対側

    このときうっかりしていたのだが、左奥の壁面に、この待合室を作った経緯を解説した重要な掲示板があったのだ。写真を拡大しても文字が読めない。

    仕方ないので、書籍『ダルマ駅へ行こう!』(笹田昌宏、小学館文庫)から引用させてもらう。

    「この待合所は、余剰貨車を改造して試作したものです」
    「昭和59年3月31日」

    多くのダルマ駅は、有蓋貨車や車掌車の大量放出があった1986年(昭和61年)から1987年(昭和62年)に誕生している。だが、それより前の1984年(昭和59年)にすでにこういう方法を模索していたことがわかる。

     

    待合室に車掌車を流用した事例としては、ほかに錦川鉄道の清流新岩国駅がある。

    https://soloppo.xsrv.jp/091seiryuushiniwakuni/

    このように「車掌車を改造した待合室」が2つとも中国地方にあるが、貨車や車掌車の駅舎への転用例はない(少なくとも現存していない)。清流新岩国駅の設置時期が不明であるし、場所も離れていることから、この2つの“ダルマ待合室”に関連があるかどうかはわからない。

    御来屋駅の少しあと、同じ1984年の11月には、四国予讃線の堀江駅と箕浦駅でダルマ駅が誕生している。このころから各地で並列的に有蓋貨車や車掌車の改造・再利用が検討されていたということかもしれない。

     

    ところで、御来屋駅はダルマ待合室があるだけではなく、駅舎も1902年(明治35年)以来使われ続けている「山陰最古の駅舎」で、国の登録有形文化財に登録されている、という貴重なものだ。

    改札(のあった場所、というべきか)の上に掲げられた看板
    駅前側から見た駅舎。右が駅利用者用の入口、左が元駅事務室への入口
    駅舎は、鉄道開通100周年となる2002年に整備された。左の切符発券台(2台)、右の荷物受け渡し台などが、開業当時の面影を残している
    駅事務室があった場所では、2026年現在食堂カフェが営業している(主に一部の平日)。カウンター席ならダルマ待合室を見ながら飲食することができる

     

    山陰本線の鳥取-米子間は、非電化単線ではあるものの、古くからの幹線であるため、御来屋のような2面3線構造の駅が多い。開業や建て替えの時期が異なっているためか、駅舎と待合室の設計が駅ごとに多様で、その違いも楽しめる。

    このほか「コナン駅」と呼ばれる由良駅もあり、「通過するだけの区間」ではないなと、現地に行ってみて感じた。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

      

  • 箕浦駅

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

    JR予讃線の箕浦(みのうら)は香川県最西端のダルマ駅で、隣は愛媛県四国中央市の川之江駅だ。瀬戸内海が目の前に迫っている立地にある。

    基本情報

    □駅名  箕浦(みのうら)
    □路線  JR四国 予讃線
    □開業  1916年(大正5年)
    □所在地 香川県観音寺市豊浜町
    □マップ

    □撮影年月 2024年12月

     

    駅前は国道11号に面している

    同じ予讃線には「日本で一番海に近い駅」として知られる下灘駅がある。海に近い点は同じだが、箕浦駅は交通量の多い国道が間にあること、ホームのベンチから海がよく見えないことなどで、残念ながらちょっと敵わない。

    近年塗装が塗り替えられたようだが、いい感じの色合いだと思う。駅舎の隣に仮設トイレがあるが、中はあまりきれいではなかった
    松山行きの特急しおさい・いしづちが高速で通過した
    1面2線の島型ホームだ。駅舎を抜け、手前の線路を渡り、スロープをのぼったところにある

     

    室内。天井は平面の板が張られている

    ダルマ駅での一番の萌えポイントは天井だ。元となった有蓋貨車や車掌車が持つ、屋根の絶妙なカーブがたまらない。ところがここではそれが隠されてしまっている。残念だ。

    同じ予讃線の堀江駅の天井も残念な平面仕様だった。

    https://soloppo.xsrv.jp/090horie/

    両駅ともダルマ駅が設置されたのが1984年(昭和59年)11月であり、同じ仕様で改造・設置されたのだろう。ほかの多くのダルマ駅の設置が、国鉄分割民営化の前後である1986年(昭和61年)から1987年(昭和62年)に集中しているのに比べると、ちょっと時期が早い。先駆的事例と言えるのかもしれない。

    四国にほかにダルマ駅があったかどうかわからないが、少なくとも現在はこの2駅だけだと思われる。

    反対側には、列車の走行位置と遅れ時間を表示する「運行情報等表示端末」(左の壁の黒っぽい装置)がある。JR四国の駅にはこれがあって(全部の駅かどうかは不明)、列車の遅れがわかるのでとても便利だと思う
    通り抜けて反対側(ホーム側)から見た駅舎。通路越しに海が見えるのがいい感じ

    この通路を必ず通らないとホームに行けないのだが、両側に3段の階段がある。バリアフリー的にどうなのかと思ったら、室内に次の掲示があった。「お身体に障害のあるお客様へのご配慮について、周りにいらっしゃるお客様のご理解とご協力をお願い申し上げます」。誰かに手伝ってもらってくれ、ということだね。

     

    遮断機のない踏切を渡って左のスロープをのぼるとホームだ。高松・岡山方面を見たところ。ここは単線区間で、通過する特急および通常の普通列車は上り下りともこの2番線(山側)を使う
    1番線(海側)は列車交換時に使う
    松山方面を見たところ。特急が高速で通過する左(2番線)は線路が直線で、路盤もしっかりした感じ。右(1番線)の路盤との違いがよくわかる

     

    最後に、交換待ちで停車している普通列車伊予西条行きと、通過する特急しおかぜ(岡山行き)・いしづち(高松行き)をコマ送りでご覧いただこう。特急はJR四国のシンボル、アンパンマン列車だった

    そして下り列車が発車した

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

      

  • 陸中夏井駅

    陸中夏井駅

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

    陸中夏井(りくちゅうなつい)は、八戸(青森県八戸市)と久慈(岩手県久慈市)を結ぶJR八戸線の駅で、2025年現在、北東北唯一のダルマ駅だ。

     

    基本情報

    □駅名  陸中夏井(りくちゅうなつい)
    □路線  JR東日本 八戸線
    □開業  1930年(昭和5年)
    □所在地 岩手県久慈市夏井町大崎
    □マップ

    □撮影年月 2025年6月

     

    東北新幹線、青い森鉄道線との接続駅である八戸(はちのへ)を起点とする八戸線は、八戸市中心部を抜けたあと、ずっと海岸近くを走る。そして終点の久慈に近づいた陸中中野から内陸に入り、峠を越えたところに陸中夏井駅がある。周囲は久慈市中心部から続く住宅街だ。

    (国土地理院)
    駅舎の元になったのが、貨物室(左半分)と車掌室(右半分)が混合した「有蓋緩急車」(記号:ワフ)。貨物室の開口部、車掌室のデッキ、の2つの通路を通ってホームに行ける

     

    貨物室の開口部から入ると待合室がある。かなり大きく窓を作っているのは、北海道より寒くないからだろうか。車両横幅いっぱいに置かれたベンチの配置がとてもいい

     

    車掌室側には向きの違うベンチがある。車掌室のデッキに出るドア(鍵がかかっているので通れないようだ)には、融雪剤と思われるものがかかっている。さすが北国

     

    ホームから貨物室側を見る。白い柱は切符回収のものだと思うが、何も書かれていない

     

    車掌室側には、なんと手動でブレーキをかけるハンドルが残っている。この駅舎の元になった「有蓋“緩急”車」とは、ブレーキをかける装置が付いている有蓋(屋根のある)貨車を指す。貨物室がない「車掌車」もブレーキが付いているので「緩急車」の一種と言える

     

    隣駅が八戸線の終点久慈。その先は三陸鉄道リアス線につながっている

     

    八戸方面。この先は侍浜駅を経て陸中中野駅まで内陸部を走る

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 清流新岩国駅

    清流新岩国駅

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

    清流新岩国(せいりゅうしんいわくに)は、錦川鉄道 錦川清流線の起点、川西(JR岩徳線との分岐駅)から終点の錦町に向かって、1つ目の駅だ。

     

    基本情報

    □駅名  清流新岩国(せいりゅうしんいわくに)
    □路線  錦川鉄道 錦川清流線
    □開業  1960年11月、国鉄岩日線の御庄(みしょう)駅として開業
         1987年7月、国鉄分割民営化により錦川鉄道に移管
         2013年3月、清流新岩国駅に改称
    □所在地 山口県岩国市御庄
    □マップ

    □撮影年月 2025年12月

     

    ダルマ駅は普通「貨車を改造した駅舎」を指すが、清流新岩国駅が使っているのは駅舎ではなく待合室だ(同駅に駅舎はない)。

    もう一つの大きな特徴は、元になったのがコンテナ緩急車(型式:コキフ)の車掌室部分、という点だ。コンテナ緩急車(“緩急車”とは列車にブレーキを掛ける装置があるもので、車掌車もその範疇)というのはWikipediaで初めて知った。

    コンテナ緩急車の写真を見ると、庇(ひさし)のような部位が片方にしかないが、清流新岩国駅の待合室は左右対称で、庇が両方にある。長さもこれより短いようだ。

    ということは向きを変えて2つを合体させたのか? 少なくとも室外、室内の中央に合体させたような跡は気づかなかったが…。

     

    JR山陽新幹線新岩国駅の改札(2階)から外に出ると、そのまま(地上に下りずに)清流新岩国駅に行く通路がある。ダルマ駅の待合室も見えるのだが、後ろにある小学校の体育館と同じ色なので、写真ではちょっと見分けにくいかも

     

    ここまで来れば、形がよくわかる

     

    通路は錦川清流線の線路をくぐる形で続いている

     

    線路下に、ホームに通じる階段がある。駅舎や改札はない

     

    階段をのぼれば、正面に待合室が待っていた。新岩国駅の改札からここまで5分ぐらい

     

    ホームの屋根で見えづらくなっているが、入口の上には旧駅名の「御庄駅」の標識がそのまま残っている

     

    室内の壁や天井は水色で統一されている。向かい側のドアは開かない

     

    逆方向を写す。現在外壁は白地に青帯(新幹線のぞみにあわせた?)だが、2025年6月以前は外壁全体がこのような水色だった

     

    室内に飾られていた写真。この場所からだと待合室も列車もいい感じで撮影できるのだが、この場所に行く通路は鎖が張られ、立ち入れなかった

     

    錦川方面は、待合室の先にもホームが延びているが、もうここに列車が止まることはない

     

    現在は1面1線の駅構造だが、以前はこちらにも線路があり、島型ホームだったことがわかる

     

    錦川発岩国行きの列車がやってきた

     

    来たのは、清流新岩国駅をはじめ沿線各所にある桜の木をモチーフにした「ひだまり号」。錦川清流線の車両はどれも新型で、ピンク、グリーン、イエロー、ブルーと車体色も多彩だ

     

    当駅を発車した列車は山陽新幹線の高架をくぐり、次の川西でJR岩徳線に乗り入れて岩国まで行く

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 堀江駅

    消えゆくダルマ駅:本州・四国

     

    堀江駅は、高松と宇和島を結ぶJR予讃線の駅だ。古くは仁堀連絡船(愛媛県松山市の堀江港と広島県呉市の仁方港の間を運航)を利用する人の乗換え駅でもあったが、昭和57年に航路が廃止され、昭和62年には国鉄民営化によりJR四国の駅となった。現在の堀江駅は、昭和59年に設置されたダルマ駅だ。

     

    基本情報

    □駅名  堀江(ほりえ)
    □路線  JR四国 予讃線
    □開業  1927年(昭和2年)開業
    □所在地 愛媛県松山市堀江町
    □マップ

    □撮影年月 2023年10月

      

     

    駅舎の中から、2面2線のホームが見える

       

    上り下りとも、ほぼ毎時運行列車がある。ダルマ駅の中では、運行本数は多いほうだ

      

    南西側の壁。JR四国と言えば、アンパンマン列車だ。堀江駅は特急は停車しないので、残念ながらアンパンマン列車はダルマ駅を通り過ぎる(おそらく)

     

    駅舎内には券売機がある。ダルマ駅に限らず無人駅では、券売機が撤去され、きっぷ回収箱や簡易型のIC改札機のみの場合が多い。現在知る限り、券売機のあるダルマ駅は、道南いさりび鉄道の東久根別(ひがしくねべつ)駅ぐらいだろうか   

     

    1日の乗降客数は、2022年度で300人台。それなりに人の気配を感じるダルマ駅だ

       

    水色のきっぷ回収箱。運賃も入れていいらしい

      

    1番線ホームから駅舎を撮影。出入り口のひさしの上にあるオレンジ色のバーは、かつてのハンガーレール。貨車時代は左右に動く荷物搬入用扉がはめ込まれていた。側面からみると、有蓋貨車独特の天井のカーブがよくわかる

     

    跨線橋からの眺め

      

    跨線橋を降りてすぐ、2番線ホームにあった案内板。堀江駅を通過する列車の時刻表があった。これの一部がアンパンマン列車なのだろう

     

    2番線ホームから、駅舎を撮影。駅のワンポイントカラー、セルリアンブルーと青空が共鳴している

     

    大半の上り・下り列車とも1番線ホームを利用する。ただし2番線ホームには、隠れた利用術がある。上の画像で、ホームの一部が右手方向に広がっているが・・・

     

    ホームから直接小路に降りられるようになっている。駅が鉄道の向こう側へ行くための抜け道になっているようだ

     

    いちおう、「通行危険」と書かれた小さな看板はある

     

    2つのホームは、少しずれて配置されている。2番線は、1番線よりも高松寄りに長く伸びている

     

    伊予西条行きの上り列車が入線してきた。堀江駅のある区間が電化されていて、ご覧のとおり秘境駅感はまったくない

    四国にはもう一つ、箕浦駅というダルマ駅がある。設置時期が1984年(昭和59年)11月と同じであり、同じ仕様で改造・設置されたのだと思われる。

    https://soloppo.xsrv.jp/094minoura/

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

      

  • 釜谷駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    深い青色、対照的な白、そして駅名と足場にワンポイントの赤。道南いさりび鉄道の釜谷(かまや)駅に近づくと、この鮮やかな色合いが目に飛び込んでくる。

    ホーム側も同じデザイン。こちらも庇(ひさし)の赤がワンポイントとして効いている

     

    基本情報

    □駅名  釜谷(かまや)
    □路線  道南いさりび鉄道線
    □所在地 北海道木古内町釜谷
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    このようなオリジナリティのある駅舎デザイン、という点では、函館本線の尾白内駅と似ている。

    https://soloppo.xsrv.jp/087oshironai/

     

    木古内方面。ホームは相対式2面2線で、海峡線の開業にあわせて列車交換を可能にした。貨物列車が通ることを考慮したためか、複線区間が長い
    室内には花かごが置かれていた。右奥にある傘は置き傘?それとも貸し出し用?
    ストーブがある! 北海道のほかのダルマ駅では見かけなかった。奥に事務机があるのは、以前乗車券を委託販売していたときのものだろうか
    珍しく車体に製造銘板が付けられたままだ

    銘板は「日本車輌 輸送機工業 昭和44年」と読める。Wikipediaによると、航空機部品メーカーの輸送機工業は、一時期日本車輌製造と同じグループになり、貨車を製造していたことがあるという。貨車としては約17年働いたのだが、ダルマ駅になってその2倍以上、40年近く働いているのだ。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 東久根別駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    道南いさりび鉄道の東久根別(ひがしくねべつ)駅は、“市街地”と言える場所にあり、現在北海道にあるダルマ駅の中では一番利用者が多いかもしれない。

    木古内方面を望む。周辺は住宅が多い

    駅の開業当初からダルマ駅だったという、非常に珍しい駅だ(もしかしたら唯一かも)。

    東久根別が臨時乗降場として開業したのは1986年、駅に昇格したのが1987年(JR発足と同時)と、道南いさりび鉄道(当時は国鉄江差線)の駅としては新しい。駅の南には、戸数216という大きな北斗市営久根別団地があるが、この団地が建設されたのが1982年から1992年にかけて。あわせて周辺の宅地化も進んだのだろう。そのころ駅の需要が高まったのだと思われる。

    一方、車掌車や有蓋貨車を駅舎に利用したダルマ駅の多くは、日本国有鉄道(国鉄)が分割・民営化された1987年の前後に誕生した。古くなった駅舎を建て直すのに費用がかかること、そのころ貨物列車のワンマン運転化が進み車掌車が廃止されたこと、「コンテナ」の普及で有蓋車などの貨車の必要性が下がったこと、などが理由だ。

    駅の開業時期とダルマ駅誕生の時期がちょうど重なり、「開業当初からダルマ駅」が誕生したと思われる。

     

    基本情報

    □駅名  東久根別(ひがしくねべつ)
    □路線  道南いさりび鉄道線
    □所在地 北海道北斗市久根別
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    駅舎の元になったのは、貨物室(左半分)と車掌室(右半分)が混合した「有蓋緩急車」(記号:ワフ)。貨物室の開口部が入口で、車掌室のデッキは塞がれている。後ろに見えるのが北斗市営久根別団地
    右はトイレで、なんと洗面台もある。トイレの中を見なかったが、水洗だろうか? 下りの函館行きは16本、上りは木古内行きが9本、上磯どまりが9本と、そこそこの運転本数がある
    バーコード決済や電子マネーも使える、最新の自動券売機がある。ダルマ駅に限らず、無人駅で券売機があるのはもはや珍しい
    まっすぐな線路部分にあとから駅が作られた。朝は函館方面に向かう乗客が多いのだろうか

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。