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  • 東久根別駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    道南いさりび鉄道の東久根別(ひがしくねべつ)駅は、“市街地”と言える場所にあり、現在北海道にあるダルマ駅の中では一番利用者が多いかもしれない。

    木古内方面を望む。周辺は住宅が多い

    駅の開業当初からダルマ駅だったという、非常に珍しい駅だ(もしかしたら唯一かも)。

    東久根別が臨時乗降場として開業したのは1986年、駅に昇格したのが1987年(JR発足と同時)と、道南いさりび鉄道(当時は国鉄江差線)の駅としては新しい。駅の南には、戸数216という大きな北斗市営久根別団地があるが、この団地が建設されたのが1982年から1992年にかけて。あわせて周辺の宅地化も進んだのだろう。そのころ駅の需要が高まったのだと思われる。

    一方、車掌車や有蓋貨車を駅舎に利用したダルマ駅の多くは、日本国有鉄道(国鉄)が分割・民営化された1987年の前後に誕生した。古くなった駅舎を建て直すのに費用がかかること、そのころ貨物列車のワンマン運転化が進み車掌車が廃止されたこと、「コンテナ」の普及で有蓋車などの貨車の必要性が下がったこと、などが理由だ。

    駅の開業時期とダルマ駅誕生の時期がちょうど重なり、「開業当初からダルマ駅」が誕生したと思われる。

     

    基本情報

    □駅名  東久根別(ひがしくねべつ)
    □路線  道南いさりび鉄道線
    □所在地 北海道北斗市久根別
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    駅舎の元になったのは、貨物室(左半分)と車掌室(右半分)が混合した「有蓋緩急車」(記号:ワフ)。貨物室の開口部が入口で、車掌室のデッキは塞がれている。後ろに見えるのが北斗市営久根別団地
    右はトイレで、なんと洗面台もある。トイレの中を見なかったが、水洗だろうか? 下りの函館行きは16本、上りは木古内行きが9本、上磯どまりが9本と、そこそこの運転本数がある
    バーコード決済や電子マネーも使える、最新の自動券売機がある。ダルマ駅に限らず、無人駅で券売機があるのはもはや珍しい
    まっすぐな線路部分にあとから駅が作られた。朝は函館方面に向かう乗客が多いのだろうか

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 尾白内駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    尾白内(おしろない)駅は、函館本線の「砂原(さわら)支線」と呼ばれる区間にある。

    大沼と森の間の函館本線は、駒ヶ岳の西側を通る本線と、東側を通る砂原支線の2ルートがある(どちらも単線)。砂原支線は、本線の急勾配を避けるためのバイパスとして、昭和初期に建設された。現在、特急はすべて本線、貨物列車は上りが砂原支線・下りが本線を経由している。普通列車は両ルートとも1日に5~7本が運行されている。

     

    基本情報

    □駅名  尾白内(おしろない)
    □路線  JR北海道 函館本線(砂原支線)
    □所在地 北海道森町尾白内町
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    尾白内駅は、北海道に現存する多くのダルマ駅とは違う特徴が3つある。

    1つめは、画一的な「水色とベージュのツートンカラー」でもなく、小学生が描いた絵でもない、独特のデザイン
    2つめは、駅前の敷地とホームとに高低差があること。5段の階段をのぼる
    3つめは、2つめと関連するが、入口が1つ(片方の側面)しかないことだ

    同様の駅としては、道南いさりび鉄道の釜谷駅がある。

    https://soloppo.xsrv.jp/089kamaya/
    さらに室内は、ダルマ駅の中でも1、2を争うシンプルさ
    簡素さが潔い。お決まりの掃除用具と千羽鶴もない
    この先、線路は駒ヶ岳を右に見ながらぐるっと周回し、大沼、函館へと続く。このあと、上り(函館方面)貨物列車が通過したが、すでに駅を去ろうとしていたところだったので、写真を撮りそびれた

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 中ノ沢駅(廃駅)

    消えゆくダルマ駅:北海道

    函館本線長万部駅の一つ南の隣駅だった中ノ沢駅は、2024年3月に廃止された。廃駅になっても数年は駅舎が残っている場合が多いが、廃駅となった1年半後に訪ねたところ、すでにダルマ駅舎がなくなっていた。

    廃止前(2018年)の中ノ沢駅(写真:Mister0124, CC BY-SA 4.0

     

    基本情報

    □駅名  中ノ沢(なかのさわ)
    □路線  JR北海道 函館本線
    □廃止  2024年3月
    □所在地 北海道長万部町中ノ沢
    □マップ

    □撮影年月 2025年10月

     

    すばやく撤去されたのは、北海道新幹線の新函館北斗-札幌間の工事のためではないだろうか。この区間、新幹線は函館本線のすぐ西側を通るようなので。

    長万部駅付近は、2024年9月の時点で新幹線の工事が始まっていなかったが、2025年10月では工事が始まっていた。中ノ沢駅付近も新幹線の高架線路を造る工事に取りかかるため、早めに駅舎を撤去したのではないだろうか。そもそも急いで中ノ沢駅を廃止したのも、それが理由かもしれない。

    冒頭の写真と同じ(と思われる)場所を高速で通過する列車から撮影。積まれているのは新幹線建設のための資材ではないかと推測するのだが…

    新函館北斗-札幌間の北海道新幹線が開通したら、この区間の函館本線は貨物列車専用線になる可能性がある。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 浜厚真駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    浜厚真(はまあつま)は不思議な駅だ。周辺に住宅などがほとんど見当たらないわりに、利用者はそこそこいる。Wikipediaによれば、近年は1日あたり20人ぐらいの乗車人員があるようだ。

    壁面の絵は地元の小学生のアイディアを基にしたものらしい。だいぶ錆が浮き出てしまっているが
    ホーム側から撮影。壁面の絵は片側だけだった

     

    基本情報

    □駅名  浜厚真(はまあつま)
    □路線  JR北海道 日高本線
    □所在地 北海道厚真町浜厚真
    □マップ

    □撮影年月 2025年11月

     

    浜厚真駅は700mぐらい南に海岸があり、海浜公園やオフロードパークがある。一方、小学校やコンビニがある地区(上厚真)は北方向に5kmぐらい離れている。厚真町役場や高校がある町の中心はさらに内陸だ。駅名に“浜”が付いているのももっともだ。

    バスは浜厚真駅終着が1日に2本、始発が1本だけ。多くの利用者は家族のクルマで送迎されているのだろう。

    ではなぜここに駅が作られたのか。どうやら日高本線と並行して駅前を通る道が、以前は国道235号だったらしいのだ。そのころには駅周辺にも多くの住宅や商店があったのかもしれない。

    駅前の道。今は直線で700mほどの長さしかなく、通るのは駅に用事があるクルマぐらいだろう
    ホームから苫小牧方面を望む。この先は発電所やプラントと草地がずっと広がる
    右にある一角は、以前トイレだったのだろうか? 左上に「当駅にトイレはありません。」とわざわざ書いてあることから推測したのだが…
    車掌車を使ったダルマ駅の中では珍しく、両サイドのデッキが両方利用でき、入口も室内の両側にある
    誰もいない静かな駅を味わっていたら、若い男性3人が自転車で駅にやってきた
    駅舎の塗色に負けない、カラフルな列車が鵡川からやってきて、3人は列車に乗り込んだ
    列車は苫小牧に向けて去り、また静かな駅に戻った。夕暮れの風がくさはらを吹き抜けていく

     

    日高本線は、苫小牧(とまこまい)から、鵡川(むかわ)、静内(しずない)、浦河(うらかわ)を通って様似(さまに)までつながっていたが、2021年3月に鵡川-様似間が廃止された。それに伴って4つのダルマ駅が廃駅となり(Googleマップのストリートビューを見ると、2024年7月時点ではまだ駅舎がある)、浜厚真駅だけが現役ダルマ駅として残った。

    全長146.5kmだった路線が30.5kmとぐっと短くなり、収支は改善したものの、それでも輸送人員はあまり多くない。日高本線がすべてなくなることがあるとしても、せめて浜厚真駅はその日まで存続してほしいと願う。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 大和田駅(廃駅)

    消えゆくダルマ駅:北海道

    大和田駅は、2023年3月に行われた留萌本線の石狩沼田-留萌間の廃止にあわせて廃駅になったが、2025年9月現在、ダルマ駅舎は隣の幌糠駅と同様、撤去されずに残っている。

    大和田という地名は、福井県敦賀生まれの実業家大和田荘七に由来する。近くにある同氏所有の大和田炭砿から石炭を運搬する目的のために、大和田荘七が寄付して大和田駅が設けられたという。

     

    基本情報

    □駅名  大和田(おおわだ)
    □路線  JR北海道 留萌本線
    □廃止  2023年4月
    □所在地 北海道留萌市大和田
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    封鎖された室内には、ビール瓶ケースと掃除道具だけが残されていた
    石狩沼田方面。柵はあるがホーム跡まで入れる
    留萌方面。廃止されて2年半、という時間の流れを感じる
    国道233号を曲がり駅へ向かう途中の踏切跡。この先に大和田駅跡がある
    反対方向。この先が留萌

     

    2023年3月に恵比島駅、幌糠駅、大和田駅という3つのダルマ駅が廃止された。だが、2025年9月現在、駅舎はまだ撤去されていないし、線路のレールなどもほぼそのままだ。

    幌糠駅はこちら。

    https://soloppo.xsrv.jp/082horonuka/

    2026年3月に深川-石狩沼田間の廃止が予定されているので、そのあと(直後ではないかもしれないが)まとめて撤去作業をするのだろうか。

    その場合でも、「明日萌駅」(あしもいえき)という観光スポットの一角となっている恵比島駅駅舎だけは、もう少し残ってほしいと思う。

    https://soloppo.xsrv.jp/081ebishima/

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 幌糠駅(廃駅)

    消えゆくダルマ駅:北海道

    幌糠(ほろぬか)駅は、2023年3月に行われた留萌本線の石狩沼田-留萌間の廃止にあわせて廃駅になったが、2025年9月現在、ダルマ駅舎は撤去されずに残っている。

     

    基本情報

    □駅名  幌糠(ほろぬか)
    □路線  JR北海道 留萌本線
    □廃止  2023年4月
    □所在地 北海道留萌市留萌村幌糠
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    石狩沼田方面。立ち入りを防ぐ柵が設けられている
    留萌方面。駅舎は柵の外にある
    封鎖された室内にはほぼなにもない。ペンで書かれた「W・C」から、ほかの北海道のダルマ駅と同様、トイレがあったことがわかる

     

    留萌本線は1910年(明治43年)11月に深川駅-留萌(るもい)駅間、1921年11月に留萠駅-増毛(ましけ)駅間が開業した。その後、留萌駅と幌延駅を結ぶ羽幌線もできたが、羽幌線は1987年3月に廃止された。

    深川-留萌間は約50kmとそれほど長くないにもかかわらず、名前に“本線”が付いているのは、留萌の町、そして内陸部に運搬される物資(海産物)が重要視されていたということだろうか。

    しかし時代が変わり、増毛-留萌間は2016年12月に廃止、石狩沼田-留萌間は2023年4月に廃止された。

    さらに2026年4月に残る石狩沼田-深川間も廃止予定で、そのとき「留萌本線」はすべて姿を消す。同時に、以前札沼線の終点でもあった石狩沼田は駅の役割を終える。

    石狩沼田駅から留萌方面を見る。廃止されて2年以上が経った
    石狩沼田から深川方面を見る。この部分も2026年に廃止される

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 恵比島駅(廃駅)

    恵比島駅(廃駅)

    消えゆくダルマ駅:北海道

    ドラマや映画の舞台となった駅は、その後もしばらく脚光を浴び続けることがある。

    留萌本線の恵比島(えびしま)駅もその一つで、1999年に放送されたテレビドラマ(朝ドラ)「すずらん」の撮影に使われた。「すずらん」では架空の「明日萌驛」(あしもいえき)として設定され、古いイメージの駅舎を新たに建設。

    この駅舎は撮影のために建てられた。近くには「駅長の家」も造られたほか、駅向かいの旧旅館も撮影用に改修した
    既存のダルマ駅舎は現用として使い続ける必要があるので、古い建物に見せるために木の板で覆われた。屋根が貨車(車掌車)特有の曲線を描く不思議な形の建物で、ドラマを見て「なんだろう?」と気になった人もいたのでは

     

    基本情報

    □駅名  恵比島(えびしま)
    □路線  JR北海道 留萌本線
    □廃止  2023年4月
    □所在地 北海道沼田町恵比島
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    ドラマ放送終了後も明日萌駅舎や旅館は内部公開されていたが、2023年3月に留萌本線の石狩沼田-留萌間が廃止となり、あわせて恵比島駅も廃止された。それに伴い、明日萌駅舎内部には入れなくなったが、2025年現在ダルマ駅舎の通路を通ってホーム跡に出ることはできる。

    ダルマ駅舎はすでに封鎖されていて、何も残っていない
    通路(デッキだった部分)を通って、ホーム側に出ることはできる
    ただし柵があり、行けるのは明日萌駅舎の周辺だけ。こちらが石狩沼田方面
    ホーム側から見た明日萌駅舎。中にはドラマ主人公を模した人形が今も置かれている。駅名板は新しめの明日萌駅と古めの恵比島駅と、なぜか新旧が反対
    さらに進むと、ホームに立つ明日萌駅駅名標がある。入れるのはここまで

    ドラマが放送されて26年が経ったし、駅も廃止されて入れる場所も少なくなった。だが、2025年のゴールデンウィークには、「明日萌駅ロケセットの開放」イベント(沼田町主催)が行われるなど、まだ明日萌駅は健在で、それに伴って恵比島駅のダルマ駅舎も生き残っている。

    沼田町営バスの停留所は「恵比島駅前」のまま

    道路の案内標識にもまだ「←恵比島駅」が残っている。ランドマークとしての「駅」は、そんなに簡単に消えるものではないのだ。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 智恵文駅

    智恵文駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    智恵文(ちえぶん)駅の駅舎の前に自転車が2台! “現役の駅である”ことをリアルに感じさせてくれる光景だ。ダルマ駅は多くが列車本数の少ないところにあり、利用客があることを感じるチャンスが少ないのだ。

    智恵文駅は宗谷本線の名寄と美深の間にある(それぞれ2駅目の隣だが)。2025年現在宗谷本線にある5つのダルマ駅の中で最も南であるとともに、一番“都会”に近い。この2台の自転車は、通学する高校生のものなのではないか(放置自転車でなければ)。

     

    基本情報

    □駅名  智恵文(ちえぶん)
    □路線  JR北海道 宗谷本線
    □所在地 北海道名寄市智恵文
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    ほかの駅と同様、金属の波板で駅舎全体が覆われているが、ほかの駅に比べると汚れが感じられる。車両の前後面にある突起と、それにぶら下がる鎖はなんのためのものだろうか
    稚内方面
    名寄方面。トイレのある場所に小さな窓が付けられている点が、ほかの駅と違う
    貨車(車掌車)特有の天井のカーブと、それに沿った蛍光灯用配線の曲線に萌える
    右のドアはトイレ。現役だ
    問寒別駅、下沼駅、勇知駅とは違い、駅の絵や昔の写真などを掲示しておらず、定型の掲示物だけの室内はシンプル。竹ぼうきがいい味を出している
    それでも利用者ノートはある。箱に入ったクマのぬいぐるみはなんだろう?

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 筬島駅

    筬島駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    稚内に向かう宗谷本線の列車は名寄を出てからずっと北上していくが、音威子府(おといねっぷ)で西に90度進行方向を変える。そのあと少しして着くのが筬島(おさしま)駅だ。さらに西に向かったあと、佐久駅付近でまた90度曲がり、再び北に向かう。

    (地図:国土地理院)

    音威子府駅から佐久駅の区間は渓谷になっていて、そこを流れる天塩川(てしおがわ)に沿うように、宗谷本線も国道40号も通っている。このため、音威子府駅と佐久駅の間はほとんど人家がなく、かろうじて筬島駅周辺にあるだけなのだ。

     

    基本情報

    □駅名  筬島(おさしま)
    □路線  JR北海道 宗谷本線
    □所在地 北海道音威子府村
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    この区間の天塩川流域はなかなかいい眺めで、国道40号を走るクルマからは(運転者以外)堪能できる。しかし、宗谷本線の列車からは、草木が邪魔をしてあまりよく見えないのが残念だ。

    音威子府から国道40号を西に向かい、「エコミュージアムおさしまセンター “アトリエ3モア”(砂澤ビッキ記念館)」という案内板のあるT字路を右折。筬島大橋で天塩川を渡ると小さな集落(物満内、ものまない)に入り、筬島駅に着く。

    駅舎(車体)を覆う金属の波板は落ち着いた茶色で、風景に溶け込んでいる
    室内はミントアイスのような水色だ。正面右のドアには「トイレの使用はできません」という札が貼られている
    宗谷本線のほかのダルマ駅4駅に比べると、室内に物が少ない。壁面にあるのは定型的な掲示物がほとんどで、写真や絵がなく、簡素な感じだが、きれいに掃除はされている
    列車は下り稚内行き、上り名寄行きとも1日3本

     

    音威子府村には、筬島(おさしま)、音威子府(おといねっぷ)、咲来(さっくる)、天塩川温泉(てしおがわおんせん)という4つの駅があるが、音威子府以外は「廃止検討駅」となり、音威子府村の「自治体管理」に移行している。この費用負担を軽減するために、村では「みんなの駅」プロジェクトという名称で駅の存続を目指し、ふるさと納税を利用して取り組んでいる。2023年にはふるさと納税による寄付を使って、天塩川温泉駅の待合室を修繕したという。

    このプロジェクトは「宗谷本線の「駅」は、私たち村民だけのものではありません」とうたっている。確かに鉄道の維持は誰がどのようにやっていくべきなのかは、現状以外の方法ももっと議論・検討していくべきだろう。

    名寄方面を見る
    稚内方面を見る

     

    筬島駅から佐久駅までの区間は、蛇行する天塩川に沿ってカーブを繰り返す。並行する国道40号も同様のため、落石や崩壊の事故、交通事故が多くなっている。このため、渓谷を回避するバイパス「音中道路」が建設中で、2025年度中に開通する予定だ。

    筬島駅のすぐ近くには、国道からの分岐点の案内板に書かれていた「エコミュージアムおさしまセンター “アトリエ3モア”(砂澤ビッキ記念館)」(冬期は閉館)もある。音中道路が開通すると、多少寄り道になってしまうが、ここと筬島駅をセットで見にいくのもいいと思う。

    展示されている砂澤ビッキの作品

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

     

  • 問寒別駅

    消えゆくダルマ駅:北海道

    宗谷本線の問寒別(といかんべつ)駅には活気が感じられる。その一番の理由は、駅舎を覆う金属の波板のオレンジ色だろう。

    こんな派手な色はほかにない

    さらに赤いポスト(駅前にあるのは珍しい)、そしてその向こうに見えるトイレも“現役感”に役立っている。

    現存する宗谷本線のダルマ駅(5駅)はいずれも室内にトイレがあったが、2駅は使用中止。そして問寒別駅だけは、別棟のトイレが設置されている

    駅周辺も、ほかの駅に比べると多少にぎやかさがある。小中学校、町民プール、駐在所、郵便局、スーパー(Qマート)、ゲストハウス、北海道大学の研究施設(森林圏ステーション)などがある。だからといって、駅の利用者数が多いわけではないのだが…。

    駅前から市街地方向を望む

     

    基本情報

    □駅名  問寒別(といかんべつ)
    □路線  JR北海道 宗谷本線
    □所在地 北海道幌延町問寒別
    □マップ

    □撮影年月 2025年9月

     

    この数年、ほかの自治体と同じように幌延町も「利用者数の少ない駅の存続」に頭を悩ませてきた。「廃止か、自治体が維持管理するか」という選択を迫られたからだ。

    細かい検討内容やJR北海道とのやり取りなどはわからないが、結果として、2021年から2025年までに、幌延町にある8駅のうちの4駅、具体的には、雄信内駅(おのっぷないえき)、安牛駅(やすうしえき、この駅もダルマ駅)、南幌延駅(簡易駅)、上幌延駅(ダルマ駅)が廃止された。

    また自治体が違うが(中川町)、問寒別駅と天塩中川駅の間にある歌内駅(この駅もダルマ駅)も2022年に廃止された。

    2021年時点で天塩中川駅-幌延駅間にあった駅。2025年に天塩中川駅と幌延駅の間にあるのは問寒別駅と糠南駅だけになった(地図:国土地理院)

    その結果、2025年11月現在幌延町内の駅は、問寒別駅、糠南駅、幌延駅、下沼駅が残っている。小さな市街地がある問寒別は別として、ほぼ利用者がない糠南と下沼がなぜ残っているのだろうか。

    幌延町のWebページ「幌延町内における宗谷本線「極端に利用の少ない無人駅」に係る町方針について」(アーカイブ)によると、
    ・問寒別駅:市街地を形成していること
    ・糠南駅:秘境駅等鉄道系資産によるまちおこしの象徴的存在であり民間有志による大規模イベントも開催されていること
    ・下沼駅:サロベツ湿原等観光資源の玄関口として活用度が高いこと
    と説明されている。

    糠南駅はホームが板張で駅舎のない「簡易駅」で、周囲にほとんど何もない「秘境駅」が価値として認められたということだ。函館本線の小幌駅と同様の扱いと思われる。

     

    ちょっと寄り道をしたが、問寒別駅を探索しよう。

    古くなり、汚れた駅名標をなんとか使い続けている。右の隣駅は歌内が廃止されたので、天塩中川に修正されている
    名寄方面。駅舎の近くにはさまざまな花が咲く花壇がある。自治体管理になったことで、このような整備が進むようになったのかもしれない
    稚内方面。この先に“秘境駅”糠南駅がある
    きれいに掃除されている
    左上には「問寒別駅100周年」というペナントが多数並ぶ。地元の方々が駅に込めた気持ちを感じる品々が壁を飾っている
    古い写真の数々。左上に写る小さな機関車と客車が印象的。その下は、無人駅となる前日(1986年)の式典だろう。4人の駅員が写っている

    駅舎は、その土地の歴史をとどめる小さな資料館としての役割もあるのだ。

     

    ※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。